モンゴル旅行を計画する上で、シーズンを決めるのも大切なポイントです。飛行機でたった5時間ほどの場所ですが、日本とは全く違う気候ですので、自分にあった季節に合わせて計画をしたいものです。ここでは、旅行を計画するのに役立つ情報をお届けします。まず、モンゴルの気候の特徴をご説明しましょう。
目次
モンゴルの気候の特徴
モンゴルの気候は、日本とはだいぶ違います。周りに海がないことや、ウランバートルの標高が1,250mと少し高地にあることも関係していると思います。筆者がモンゴルに来て感じた、日本の気候との違いは次の2つです。
- 乾燥している
モンゴルは1年を通して非常に乾燥しています。以前テレビの撮影で高島礼子さんがモンゴルに訪れたことがありました。その時、ウランバートルに来てすぐに声がかれてしまっていました。どれくらい乾燥しているかというと、部屋の中でポテトチップスの袋を開けてそのまま放置しても、1週間経った後もパリパリのままです。また冬の時期は、分厚いスウェットを夜洗い、部屋の中に干しておくと、朝にはカラカラに乾いています。
日本は常に湿度が高いので、モンゴルの乾燥に慣れるまで最初少し時間がかかるかもしれません。 - 冬は寒いが暖かい
言っていることが矛盾しているように感じますね。冬の寒さは日本よりも格段に寒いのは間違いありません。真冬の最低気温はマイナス40度以下になることもあります。普通の日本の防寒具では太刀打ちできません。しかし、部屋の中は日本よりも暖かいのです。どの建物も国のセントラルヒーティングが入っているので、10月から5月まで部屋の中は常に20度前後の温度が保たれます。モンゴル人のほとんどは真冬でも部屋の中では半袖短パンです。
日本に帰国した時、モンゴルよりも寒く感じるのは不思議です。
モンゴルの年間気温
まずは、2020年のウランバートルの年間の気温推移を見てみましょう。緑のグラフが最高気温、赤のグラフが最低気温です。去年は例年とは少し違い、夏の時期に雨が多い年でした。また、冬も最低気温が例年ほど下がりませんでした。それでも、寒くなるタイミングやモンゴルの気候の特徴を知ることができます。それぞれの月の特徴を細かく見ていきましょう。
ウランバートルの最新の天気と気温推移はこちらから。
春 3月〜5月 おすすめ度:★★
モンゴルでは、3月頃から気温がプラスになっていきます。日本の冬より少し寒い感じです。夜はマイナス10度以下になることもあるので、ある程度の防寒具は必要です。ただ、雪はほとんど溶けていると思います。
4月に入ると日中の温度がプラス10〜20度くらいまで上がってきます。日本の冬から春の間くらいの気候になります。時々夜に寒くなることがあるので、油断は禁物です。ライトダウンは必須でしょう。
5月に入ると、日中はだいぶ暖かくなってきます。ちょうど日本の春と同じくらいの気候だと思います。
夏 6月〜8月 おすすめ度:★★★★
6月に入ると、気候もある程度安定していきます。6月〜8月までがモンゴルのトップシーズンと言えるでしょう。空は青く、空気も綺麗で田舎に出かけるのに一番適しています。ここ数年は雨の多い年が続いていますが、本来は雨も少なくカラッとしています。蒸し暑さがないので本当に過ごしやすいです。ウランバートルから出て田舎に行きキャンプをする、馬に乗るなどはこの時期が最適です。
///別記事:モンゴル・ウランバートル市内で自然を楽しめるおすすめスポット!///
特に7月はモンゴルのナーダムという夏の祭りの時期とも重なり、全土で賑わいを見せる時期です。普段街中は車で溢れ、渋滞が目立ちますが、このナーダムの期間中はウランバートルにほとんど車が走らなくなります。モンゴル人はとにかく田舎に行くのが好きで、この時期は常にウズウズしています。砂漠の中で渋滞が起きることも。
一つ注意点は年間の気温推移を見ていただければわかりますが、1週間ごとに気温が大きく変わるところです。朝晩と日中の気温差も結構あります。夏であっても油断せず、長袖や羽織るものを持っていると良いでしょう。
まず、下の写真は何時に撮った写真でしょう?
答えは夜の8時20分です。2017年の6月10日に撮った写真なので、夏至に結構近いですね。でも写真を見る限り、夕方の4〜5時くらいをイメージされるでしょう。
夏の時期の特徴は、とにかく日が長いことです。2020年の夏至の時期は、日の出が5:57、日の入りが21:53で、日照時間は16時間近くあります。
筆者は、6時過ぎからレストランでご飯を食べ、夜9時過ぎに外に出た時に夕方のような日が見える時が好きです。10時近くてもうっすら空が明るいのは日本では経験できない特別な時間です。ぜひ体験してみてください。
秋 9月〜11月 おすすめ度:★★★
モンゴルには木々が少なく紅葉がないので、秋を感じるのが難しいですが、筆者は少しずつ肌寒くなってくるこの時期が好きです。バイクで出かけるのもこの時期が結構多い気がします。
年間の気温推移を見ていただければわかりますが、9月の後半には最低気温がマイナスに入ることもあります。10月に入れば、日本の冬と同じ気温になります。ライトダウンやヒートテックのような防寒具は必須です。11月に入ると雪が降り始め、本格的な冬が始まります。
冬キャンプが好きな方は、9月から10月にかけての時期がおすすめです。飛行機代も少し下がってくるので価格も抑えられます。
冬 12月〜2月 おすすめ度:★★☆(2個半)
モンゴルの冬は確かに寒いです。気温でいうと最低気温がマイナス40を超えることもあります。この記事を書いている2021年1月の気温は最低が-38度でした。日照時間は冬の時期とは真逆で、日の入りが8:41、日の入りが17:14です。日照時間が8時間半くらいしかありません。
この時期は、外に出る時は頭から足の先までしっかり防寒する必要があります。特に足先が寒くなるので、寒冷地仕様のブーツを準備することをお勧めします。日本ではオーバースペックなアウターも、こちらでは必須アイテムになるでしょう。
///別記事:モンゴル旅行にお勧めグッズをご紹介!(coming soon)///
なぜ、これほど寒いのにおすすめ度が★★★ もあるのかというと、神秘的なものがたくさんみられるからです。この時期は外に出るとダイヤモンドダストがよく見られます。空気中の水分が凍ってキラキラ光りとても綺麗です。結晶が形がきれいに残った雪も、たまに見ることができます。また、晴れている時に郊外に出ると、星が非常に綺麗です。モンゴルは田舎に行けば空気が綺麗なので、十分綺麗に見えますが、冬の時期はとりわけ綺麗に見えます。
マイナス30度以下と聞くと、想像できない寒さのように感じるかもしれませんが、湿度が日本よりもさらに低いせいか、カラッとした寒さです。
バイキングの西村さんが真冬のウランバートルに来て外でテントを張っていましたが、日本の芸人さんは本当に根性があるなと感心しました。おすすめはできませんが・・・。
お子さんがおられるようなら、濡れたタオルを外に持って行って何秒で凍るか、空のペットボトルを急に寒いところに持っていくとどうなるのかなど、いろいろな実験もできると思います。
モンゴルの冬のさらに細かい季節ー9つのユス(Еөсн ес)について
モンゴルには冬が始まって春になるまでを説明した”ユスン ユス”(Есөн ес)という数え詩があります。”ユス”とは日本語で数字の9です。モンゴルの本当の冬は冬至の12月22日に始まります。そこから9日を9回数えたら春がやってくるという内容です。詩の内容を説明しましょう。
- 12/22-12/30 Нэрмэл архи хөлдөнө
度数の低いお酒が凍る。 - 12/31-1/8 Хорз архи хөлдөнө.
度数の高いお酒が凍る。 - 1/9-1/17 Гунан үхрийн эвэр хуга хөлдөнө.
3歳の牛の角が凍る。 - 1/18-1/26 Дөнөн үхрийн эвэр хуга хөлдөнө.
4歳の牛の角が凍る。 - 1/27-2/4 Тавьсан будаа хөлдөхгүй.
炊いたご飯を置いておいても凍らない。 - 2/5-2/13 Зурайсан зам гарна.
雪が溶けて道が見え始める。 - 2/14-2/22 Довын толгой борлоно.
丘の頂上が顔を出す。 - 2/23-3/2 Нал, шал болно.
地面が赤・黄色く色づき始める。 - 3/3-3/12 Ерийн дулаан болно.
普通に暖かくなる。
この詩によると、4番目の”ユス”の時期が一番寒いことになります。ちなみに3歳よりも4歳の牛の角の方が凍りづらいのは、水分が少ないからだそうです。筆者がこの記事を書いているのが2021年1月5日なのでまだ2番目のユスです。この時点で最低気温がマイナス38度でした。今年は寒そうです・・・。
春のところでも説明しましたが、3月に入っても普通に寒いです。ただ、真冬とは比較にならない気温ですので、確かに暖かいとも言えます。一度は4番目の”ユス”の時期を経験してみるのはいかがでしょうか?おそらく、イメージしているよりも寒くないと思いますよ!
まとめ
モンゴルのトップシーズンは、間違いなく夏です。日本の夏の休みに計画すれば間違いはないと思います。でも、秋や冬の良さもあります。少し肌寒い大自然の中で飲むコーヒーとカップラーメンは格別です。
夜に見える星空もめちゃくちゃ綺麗です。モンゴルは鳥マニアの間では知られたバードウォッチングスポットでもあります。猛禽類のワシやタカもしょっちゅう上空を飛んでいます。
広大な草原の中でキャンプを楽しんでみてはいかがでしょうか?
春の時期は気温差が激しい日があります。日中は上着を着なくても出歩けていたのに、夕方になると日本の真冬に近い温度になることが多く、実はモンゴルでも風邪をひく人が一番多い季節でもあります。
また、春は風が強い季節でもあります。時々黄砂がやってきます。急な砂嵐が来た時のために、帽子や顔を隠すスカーフのようなものがあると良いと思います。