モンゴルのコロナウィルス(COVID-19)事情 #2 (2021年01月現在)

2020年10月にモンゴルでのコロナ感染状況をお伝えしました。その後3ヶ月が経過し状況も刻一刻変わってきていますので、現在の最新情報をお伝えいたします。

モンゴルのコロナウィルス感染者数

2020年10月にこのサイトでモンゴルの感染状況をお伝えした時、感染者はすべて輸入症例で、帰国した人の感染者のみでした。国内での市中感染は出ていませんでしたので、水際対策が功を奏していたことをお伝えしました。

///モンゴルのコロナウィルス(COVID-19)事情 #1 (2020年10月現在)///

現在の状況は以下のようになっています。最新情報はこちらから。(Googleニュース)

Googleニュースより抜粋 2021/01現在

モンゴルではウランバートルで、11月6日までに初の市中感染者が確認されました。感染者を隔離する病棟で仕事をしている看護師の感染が明らかになりました。感染症病棟で働いており、外部の人との接触はないとの発表もありました。

その後11月11日の発表で、ロシア国境のアルタンボラグから陸路入国し21日間の施設隔離の後自宅に帰宅したトラック運転手、及びその妻が感染していたことが明らかになりました。

この発表がなされた直後、ウランバートル市の封鎖学校の臨時休校も発表されました。そしてここから厳しい防疫措置が始まりました。

モンゴルでの感染拡大の経緯

ここでも在モンゴル日本大使館から送られてきたメールに基づいて、時系列でお伝えします。

(最新情報はiKonというニュースサイトから確認できます。ページを翻訳してご覧ください。)

日付情報感染者数
2020/11/06感染症病棟で働いている看護師の感染確認。356名
2020/11/1111月11〜13日までの3日間、以下の緊急措置が発令

【閣議決定された緊急措置の概要】
● ウランバートル市から外に出る全ての交通を11月11日午前2時から11月13日午後11時まで一時的に封鎖する。
● ウランバートル市内の全ての教育機関(学校、大学、語学学校等)を11月11日から13日まで閉鎖する。
● 全ての娯楽施設及びイベント(集会、会議、スポーツ及び文化行事、映画館やゲームセンターの営業等)を一時的に停止する。

【ウランバートル市令A/1241の概要】
● 大勢が参加する会議、デモ、集会、大会、競技会、旅行、学習会、すべての種類のバー、子ども用遊戯施設、寺院、参拝施設、芸術文化・舞台等のサービス施設、スポーツ行事(スキー場、体育館、ビリヤード、サウナ、プール、フィットネス、ダンス、ヨガクラブ等)及び休暇施設、観光客用キャンプ、簡易宿泊施設の運営を一時的に停止する。
● アルコール販売、アルコール提供許可を持つ食料販売及びサービス機関(レストラン、カフェ、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、ミニマーケット、食料品店、卸売り店)、食堂、食堂チェーン、スーパーマーケットチェーン、食品デリバリー店の営業時間を午前7時から午後10時までとし、制限された期間はアルコールの提供及び販売を行わない。
● ウランバートル市内の公共交通機関の稼働時間を朝は午前6時から午前10時まで、夜は午後5時から午後9時までの特別時刻割へと移行する。マスク非着用者は乗車させず、消毒を定期的に実施して運営する。
● 初等中等教育及び大学、職業専門学校、全段階の教育機関、民間学童、幼稚園の運営を一時的に停止する。この決定を実施するに当たってはこれら教育機関を管理する、子供を起こりうる危険から守るため保護者なし(子供だけ)にしない、子供を公共の場に連れて行かないこと。
● 市当局は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、インフルエンザ及びインフルエンザ様疾患の罹患、感染拡大の予防、医療サービスついての正確な情報を市民に対して定期的に提供する。
● 事業者は、サービスを受ける者に対して検温及び手指の消毒を行うとともにマスクの着用を習慣化し、マスクの着用や検温を拒否した客にはサービスを提供しないこととする。また、事業者は、大規模な市場、サービスセンターの内外の消毒を定期的に行う。
● ウランバートル市役所及び関連機関、市営工場、企業、機関に勤務する12歳までの子を持つ親に対し、これら機関の通常の運営を損なわないようにした上で在宅勤務(オンライン勤務)できる機会を設け、有給扱いとすることを上記機関幹部は許可する。
2020/11/1211月17日まで、全国警戒態勢に移行。

次に挙げる事業については、その活動が許可される。
 1 報道、通信、郵便
 2 電気、暖房、水道の供給、下水処理
 3 石油製品、燃料の供給
 4 食品の製造、販売、輸送、配送、提供(ハイパーマーケット、スーパーマーケット、ミニマーケット、食料品店、卸売店、倉庫型店舗、食料品市場、家畜及び動物用飼料)
 5 保健機関、薬局、薬品及び医療機器供給機関
 6 ゴミ・廃棄物の清掃、輸送、収集、処理、野良犬及び野良猫の駆除
 7 消毒、滅菌、公共トイレ
 8 銀行関連の会計
 9 葬儀
 10 越冬準備のための干し草貯蔵、ブリケット燃料製造、供給、配送、特別許可を持つ機関の燃料輸送
 11 裁判所、検察機関
 12 特別な役割(防災、専門監察、警察、軍、税関、税、自然保護、国家登録、外国人・国籍問題、外交、その他の特別な役割)を担う機関
 13 国家に係る特に重要な又は戦略的に有益な機関(外交団、国連事務所、ウランバートル市交通管理センター、ウランバートル鉄道、チンギスハーン国際空港、ビオコンビナート国営工場、基準・測定センターの中央棟、貴金属サンプル検査機関、国家データセンター付属リソースセンター)
● ウランバートル市内において、上記の事業以外の活動を停止する。
● 全ての市民・住民は不要不急の外出を控える。
● 公共交通機関の稼働時間を午前6時から午前10時まで及び午後5時から午後10時までとする。
● 活動が許可されていない事業者の車両が検問所を通過することを制限する。
● アルコール販売許可を持つ食料販売店(ハイパーマーケット、スーパーマーケット、ミニマーケット、食料品店)の営業時間を午前7時から午後9時まで、食料卸売り店、倉庫型店舗、食料品市場の営業時間を午前6時から午後7時までとし、制限された期間中はアルコール販売を禁止する。
● 活動が許可された企業及び機関は、そのサービスを受ける者及び職員に対する検温を実施してから入場させ、手指の消毒を実施し、感染予防に関する規定を順守する。また、サービスの提供、清掃及び消毒ついて企業又は機関内で十分に管理した上で活動を行う。
● 公的機関及び民間機関は、職員が在宅勤務をする機会を設ける。
2020/11/30全国警戒体制が12月11日まで延長。
2020/11/3012月14日から一部の業種の業務再開を許可。

1 エネルギー
 2 食品の製造、販売、配送、輸送
 3 石油製品・燃料の供給、配送、輸送
 4 上下水道
 5 医療機関、薬品及び医療機器の製造、供給
 6 金融機関及び証券取引所
 7 報道、通信及び郵便
 8 特別または戦略的に重要な機関及び施設
 9 家畜飼料の製造、販売、輸送
 10 化粧品製造
 11 皮革、羊毛及びカシミヤ製品の製造
 12 梱包及び印刷
 13 木製製品及び建設資材の製造
 14 インターネットを活用した商品の取引及び配送
 15 国家大会議、地方議会、行政機関(一部人数制限を伴う)
 16 特別な役割を担う機関
 17 裁判所、検察、弁護士事務所及び公証人役場
 18 葬儀

【14日から営業の再開が許可される業種】
 1 食品市場の中にある日用品店
 2 建築用品
 3 木材市場
 4 車両部品市場 (※)
 5 レストラン (※)
 6 カフェ (※)
 7 食堂(一般市民向け、機関付属)
 8 ファストフード店、チェーン食堂 (※)
 9 食品デリバリー (※)
 10 服、靴、家具、家電、電気製品、貴金属、鞄、眼鏡、鍵、錠、時計のオーダーメイド及び修繕
 11 クリーニング店
 12 写真店
 13 引っ越し業者
 14 物品のレンタル
 15 公共トイレ
 16 質店
 17 車両修理
 18 タイヤ修理
 19 洗車
 20 車両、部品、オイル、塗装、バッテリー、装飾、タイヤ等の付属部品の販売
 21 駐車場
 22 公共アパート
 23 建築物修繕
 24 タクシー (※)
2021/01/04ウランバートル市内に対する全国警戒態勢の実施期間を2021年1月11日まで延長。1286人
2021/01/11以下に挙げる業種を除く店舗の営業が認められました。

【活動が許可されない18業種】
1.食料品及び日用品以外の物品販売(例:全ての種類の服、家具、電気製品、手芸用品、化粧品、携帯電話販売・修理)
2.大勢の参加する会議、デモ、集会、旅行、競技会、結婚式、宴会、レセプション
3.全ての種類のバー(ディスコ、カラオケ、ストリップ、ビリヤード、パブ)
4.拡大・展示即売会
5.PCゲームセンター及び全ての遊戯施設
6.スポーツ施設(スキー場、体育館、ビリヤード、フィットネス、舞踏、ヨガクラブ)
7.サウナ、プール
8.宗教施設(寺院、礼拝施設)
9.芸術文化、観劇等のサービス施設
10.理美容店、美容サロン(美容サロン、ネイルサロン)
11.指圧、マッサージ、リラックスセンター
12.休暇施設、旅行者用キャンプ、ホテル、簡易宿泊所
13.路上小規模店舗
14.フードトラック
15.公共浴場
16.出張家庭清掃サービス
17.写真・映像スタジオ
18.5人以上の学習センター
2021/01/13ウランバートル市内でクラスターが発生したため、バヤンズルフ区第9及び17地区を封鎖。この地区の出入りが制限されました。

現在のウランバートルの状況(2021年01月)

出歩いている人もまばらになっていますが、少しずつ人通りは増えています。

上記の時系列を見ると、日本よりもずっと厳しい防疫措置が取られていることがわかります。感染者が出た時には全ての学校が休校になり、食料品を売っているお店以外のほぼ全ての業種が営業停止になりました。車で外出する場合は、営業が許可された職種であることを示すQRコードを掲示する必要があります。食料品の購入などでお店に入る場合には必ず店先で連絡先を記入するか、アプリを使って来店履歴を残すよう求められています。よく暴動が起きないなと思いますが、この厳しい措置のおかげで、日本ほどの大きな拡大には広がっておりません。

とあるパン屋さんの入口。さながら空港の荷物検査かのような機械が置いてありました。
手だけでなく、全身を消毒してくれます。

もちろん仕事ができないことによって生活が厳しくなっている人も沢山いるため、12月から全世帯の水道料金と温水暖房料金、そして電気料金が無料になり、またゲルに暮らす人たちの暖房に使われる石炭も3分の1程の価格で販売されることになりました。今年は特に寒波が厳しいので助かりますね。児童手当も数倍の額が支給されることになったそうです。こういった施策によって何とか生活を繋げている人も多いと思われます。早く仕事を始めたいと切望している人も多いですが、2021年1月18日現在でも、最後に発表された業種はウランバートル市内での営業が許可されていません。

ウランバートル市内での防疫措置

上記の時系列で全ては触れられていませんが、ウランバートル市内では、何度かクラスターが発生しています。その場合、クラスターが発生した箇所から近隣数ブロックがロックダウンされます。

実は我が家の近くでクラスターが発生し、ロックダウンになりました。ロックダウンになった場合、そのブロックは道路にフェンスが置かれ、各所に警察が立って監視していました。車はもちろん徒歩での外出も制限されました。その時の模様はモンゴルでのニュースページ(iKon)でご確認ください。

加えて、このブロックの全ての世帯にPCR検査が行われました。以下の数字の一番右がPCR検査をした人が書かれていますが、なんと1日で9,115人増えています。すでに全国で75万人以上の人が検査を受けていることがわかります。感染を抑えるために行われている措置を見て取れます。

マンションのロックダウン

もし感染者がマンションで起きた場合、日本では考えられないロックダウン措置が取られるようです。それはなんとマンションの入り口を南京錠で閉じてしまう、もしくはマンション入り口のドアを溶接して開けられないようにすることがあるとの噂が出ています・・・。これを聞いたときはさすがに焦りました。火事になったらどうするんだ!?と思いました。我が家がロックダウンされないことを願うばかりです。

追記(2021年02月初旬):隣のマンションがロックダウンになったときには、入口に警察官が24時間常駐し、出入りを監視していました。溶接されることはなかったので安心しました。非常に寒い時だったので、車の中からですが数日間監視をしていた警察の方達は大変だったと思います。感謝ですね。

未だに広がる噂

感染者が増えているにも関わらず死者が2名と非常に少ないのは注目できる点です。年配者や糖尿患者が多数いる国にも関わらず重症化する人が少ないのはとても不思議です。

しかし、それによって「モンゴル人にはコロナは効かない」という噂が広まっています。その理由として、

  • モンゴル人は栄養価の高い羊肉を主食としているので、感染に強い
  • 乳製品(アーロール、アールツなど)をたくさん摂取しているので感染しない
  • モンゴルの家畜はほぼ野生のように育てられているので、栄養価が違う

などをよく聞きます。こうした噂で外出者が増えたり、マスクをしない人が増えているようですね。どの国も同じだと思いますが。政府からの正しい情報を得ることが大切ですね。

まとめ

市中感染が出たことにより、現在でもウランバートルから市外に出ることが制限されている状態です。それで国外からモンゴルに入ることはもっと厳しくなっています。まだまだこの影響は続きそうですね。

場所は違えど、感染を広めるスーパースプレッダーにならないように気をつけたいと思います。引き続きシンプルですが、感染拡大を抑える効果があるのは次の点と強調されています。

  • 外出時はマスクと手袋をする
  • 外出後は20秒以上石鹸で手を洗う
  • 咳をするときは肘で覆い、外出時は顔を触らない
  • 政府の指示に従う

筆者はコロナの影響が収束したら、バイクで田舎に出かけたいですね。その準備を今しておきます。皆さんもお気をつけて。