モンゴルのコロナウィルス(COVID-19)事情 #1 (2020年10月現在)

こちらは、より新しい記事があります。
///別記事:モンゴルのコロナウィルス(COVID-19)事情 #2 (2021年01月現在)///

モンゴルのコロナウィルス感染者数

2020/10現在でも、日本ではコロナの感染者数が増え続けていますね。一時期よりは収まったとはいえ、引き続き注意は必要かと思います。

ここモンゴルはというと以下のような状態です。
(最新の情報はこちら。)

Googleニュースより抜粋 2020/10現在

感染者は350人です。しかも死者は0。世界的にみても、かなり驚異的な数字ではないでしょうか。しかし、それだけではありません。モンゴル国内で確認された感染者は全て輸入症例です。つまり、市中感染は起きていないということになります。

上は感染者166万人のロシア、下はコロナの発生地中国に挟まれていながら、この感染者数しか出ていないのは、ひとえに素早い水際対策のおかげと言えます。

モンゴルではどんな対策をとってきたのでしょうか。

COVID-19に対するモンゴル政府の対応

在日本人には、大使館にメールアドレスを登録しておくと、モンゴル政府から発表された感染者の情報、感染症拡大防止のために取られている施策が送られてきます。このメールに基づき、時系列に辿ってみます。(日付は、大使館からメールが届いた日付です。)

1月から4月の初旬までの指示を見ると、どれほど素早い対応だったのかがわかります。

日付情報感染者数
2020/1/28・中国などへの渡航自粛を要請。
・1/27〜3/2まで国内の教育機関は休校。
・多くの人が集まる芸術・文化・スポーツイベントの禁止。
・AM4:00まで営業していたバーやクラブはAM0:00までの営業に短縮。
中国から観光ビザでの入国禁止
2020/1/31・2/1〜3/2まで中国国民、又は中国を経由する外国人のモンゴルへの入国を禁止。(モンゴル国民は帰国を許されるが、検疫あり。)
・同期間において、モンゴル国民は中国への出国を禁止
2020/2/6・チンギスハーン空港での検疫開始。
2020/2/7・2/5〜3/2まで、有効な査証がある外国人でも、本年1/1以降に、中国(香港、マカオを含む)および台湾に滞在した、又はトランジットで経由した経歴がある場合には、モンゴルへの入国禁止。
2020/2/12・2/23〜3/22までの間、成田⇄ウランバートル便の欠航。
2020/2/14・2/14から当面の間、中国⇄モンゴル間の航空機と鉄道旅客輸送が完全に停止。(人の往来を禁止、荷物はOK。)
・モンゴル人、外国人に関わりなく、中国への出国禁止。
2020/2/19・2/14〜3/29まで、中国の国境ポイントからの出入国禁止。
モンゴル国内の大学、専門学校、幼稚園などの全教育機関の休校を、3/29まで延長。
2020/2/20・2/23〜27までの旧正月(ツァガーンサル)期間中、モンゴル国内の各県・主要都市を結ぶ幹線道路を封鎖。
2020/2/21・過去14日以内に中国(香港、マカオを含む)及び台湾い滞在・通過歴のある外国人はモンゴルへの入国を禁止。査証申請・発給も停止。
2020/2/24・2/25~3/2まで韓国便の欠航。
2020/2/6・2/28〜3/11まで日本往復定期便の欠航延長。
2020/2/26・2/25〜3/11まで、韓国便の欠航延長。
2020/2/27・2/28〜当面の間、過去14日以内に、韓国、日本、イタリアに滞在歴がある外国人及び無国籍者は、モンゴルへの入国を禁止。
2020/3/13/2〜3/11までの間、ロシア(イルクーツク、ウラーンウデ)定期往復便の欠航。
2020/3/3・3/30まで、娯楽施設、宗教・文化施設、運動施設、宿泊施設の利用禁止。
・3/29まで、教育機関の休校延長。
・3/29まで、深夜飲食店の営業停止。
2020/3/28・日本、韓国、ロシアとの定期便の運航停止措置を、3/28まで延長。
2020/3/10初の感染例
3/2にモスクワから定期便でモンゴルに到着したフランス人が、14日間の自宅待機を無視し、120人以上と接触。ドルノゴビまで移動し、仕事をしていた。
3/7に発熱したためPCR検査を受診、感染が確認された。
・3/10〜17まで、ウランバートルから地方への出入りを禁止。
・ロシア、トルコ(イスタンブール)、カザフスタン(ノルスルタン)との運航便の停止。
1
2020/3/113/10〜3/16まで、食品以外の全ての小売・サービス業、すべての種類の商品を販売するお店、全ての宅配食品サービスの営業停止。(市場やタイヤの修理店なども含む)
2020/3/17感染者情報
ソウル、モスクワからの特別便の搭乗者に対してPCRを実施したところ3名の感染者を確認。
4
2020/3/18感染者情報
ベルリン・モスクワからのチャーター便に登場していたモンゴル人に1人感染を確認。
5
2020/3/19感染者情報
ベルリン・モスクワからのチャーター便に登場していたモンゴル人に1人感染を確認。
6
2020/3/20・国内の全教育機関の休校措置を4/30まで延長。
・日本、韓国、ロシア、トルコ、カザフスタンへの運航便停止を4/30まで延長。
2020/3/21感染者情報
ベルリン・モスクワからのチャーター便に登場していたモンゴル人に4名感染を確認。
10
2020/3/26感染者情報
イスタンブールからのチャーター便に登場していたモンゴル人に1名感染を確認。
11
2020/3/27海外からの帰国者の隔離期間を2週間(14日間)から3週間(21日間)に延長。指定施設内での隔離措置が終了した後自宅待機の期間を2週間から1週間に短縮。
2020/3/28感染者情報
イスタンブールからのチャーター便に搭乗していたモンゴル人に1名感染を確認。
12
2020/4/1感染者情報
韓国からのチャーター便に搭乗していたトルコ大使館家族2名感染を確認。
14
2020/4/6感染者情報
ロシアからのチャーター便に搭乗していたモンゴル人1名の感染を確認。
15

この時系列を見ると、素早く中国からの入国を禁止し、程なくして全ての人の渡航も禁止されました。また、感染者が出た国からの入国を随時禁止し、水際対策も非常に迅速でした。

国外からの入国を禁止していたのに、どうして感染者が輸入されているのかというと、国外にいるモンゴル人はチャーター便によって帰国することができます。感染者の多い国にいる観光ビザの人も、強制的に帰国されられることもありました。その中に感染者が多数いました。

大使館からのメールを見る限り、ロシアから大量に感染者を輸入していたことがわかります。感染者166万人いますから、危険なのは明らかですね。

帰国者は現在でも21日間の隔離を強いられます。この隔離は都市部のあらゆるホテルや関連機関で行われますが、その費用は自費になるようです。帰国者にとってはチャーター便の費用も含めるとかなりの負担になりますが、モンゴル在住者にとっては非常にありがたい処置です。

政府から出された指示の中には、日本ではあり得ないような強硬措置もありました。しばらくの間、全教育関連の休校、娯楽施設や文化・宗教施設での集まりを禁止、飲食関係以外のお店の運営禁止が同じ時期に施行されました。おそらく廃業を余儀なくされたお店も多々あることと思います。それでも、その指示をすぐに出せる国だからこそ、水際対策も可能になったのだと思います。

コロナによる混乱

水際対策は非常に優秀でしたが、モンゴル国内は混乱していました。実際身近にいるモンゴル人の友人たちから流れてきた噂を挙げます。

  • モンゴル人の感染者から死者が出ていないので、モンゴル人にはコロナの耐性がある。
  • すでにウランバートル市内にはコロナ感染者が大勢いる。
  • 海のものを食べてはいけない。
  • コロナウィルスはモンゴルの寒さと乾燥には耐えられない。
  • 国境が封鎖されたため、食品が買えなくなる。とにかく小麦を買うように。

他にもたくさんありましたが、忘れました・・・。

モンゴルの情報源はネット、というよりもFacebookです。つまり人の噂が大きな情報源になってしまうことが多々あります。これは日本でも同じだったかもしれませんが、どれが正しい情報がを見分けるのが難しくなっていました。

筆者は大使館からの情報を信頼することで噂に惑わされることなく、無駄なものも買わずにすみました。やはり情報源は大事ですね。

現在のウランバートルの状況

現在も引き続き、外国人の入国は原則禁止されています。しかし、教育機関は9月から始まりました。お店も普通に営業を再開しています。

現在の対策は下記の通りです。

  • イベント活動・施設利用の禁止。
    多人数が参加するデモ・集会・行事の開催および、ゲームセンター、ディスコバー及びダンスバーの活動・営業を一時停止。
  • 店舗・施設利用時の衛生管理
    従業員やお客さんへの体温測定、定期的な手指の消毒、マスクの着用、2時間毎の消毒、ソーシャルディスタンス等… 。
  • アルコ-ルを販売又は提供する特別許可を有する商業・サービス期間の営業を深夜0時までとする。

と言っても、マスクをしている人はほぼ見かけなくなりました・・・。ほぼ通常の生活に戻っているように感じます。いまでは、モンゴル人の間で「私たちはコロナと仲良くなった」という言葉を聞くことがあります。皆さんいつの間にかコロナウィルスと友達になっちゃってました。

まとめ

水際対策がとても素早く行われたため、現在も市中感染が起きていないのは本当に素晴らしいです。しかし、現在ではコロナへの警戒心がかなり薄くなっているため、もし今市中感染が起きたら広がり方は非常に早いと思われます。

筆者は引き続きソーシャルディスタンスを保ちつつ、不要不急の外出は避けるようにしたいと思います。

渡航可能になっているかどうかの最新の情報は、モンゴルの日本大使館ホームページから確認できます。

在モンゴル日本大使館ホームページ
https://www.mn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

とはいえ引き続きウランバートルの実際の状況は、このブログでもお知らせしたいと思います。
国境が開いた際には、観光でいらしてください。